地下音楽通信

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NWW List全部聴く第9回 Amon Düül Ⅱ - Yeti

こんにちは。

今回はAmon Düül Ⅱです。前回紹介したAmon Düül の派生バンドで、より有名なほうです。クラウト・ロックの代表バンドです。1968年に結成され、1981年に解散するもその後も不定期で再結集し、ライブらアルバム制作を行っているようです。

 

今回はAmon Düül Ⅱの代表作であるYetiを紹介します。ちなみに邦題は「地獄!」です。

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1. Burning Sister

年代的にも典型的なクラシックロックに近い。イントロからはポップな印象を受けたが、ボーカルが入ることで全体の雰囲気も騒々しいものとなりまとまりを欠く。しかし一定のポップさを失うことはない。

 

2. Halluzination Guillotine

ベースとドラム主体のイントロにギターが好き放題弾きまくる。ボーカルは語り口調でメロディラインに乗っかることは無い。ベースラインが美しい。ラストはそれぞれの楽器が主張し合って混沌を極める。

 

3. Gulp A Sonata

高音の女性コーラスと低音の男性コーラスによる会話のような駆け引き。前曲と後曲を繋ぐ1分弱の曲。

 

4. Flesh-Coloured Anti-Aircraft Alarm

バントパスされるが、前曲から曲調の変化はない。民族弦楽器の響きが目立つ。相変わらず語り口調のボーカルとこれまでよりも厚みのある演奏。ポリリズムによって展開されるアンサンブル。1曲目のキャッチーなイントロの再現で曲が終了。

 

5. She Came Through The Chimney

これまでとは打って変わって美しいギターのメロディとベースライン。ボンゴの心地よいリズムと美しいフルートが加わるのだがこの辺りから曲の美しさは次第に失われ、前衛的なものへと変わる。前面で鳴っているのは耳障りなブブゼラのような笛である。

 

6. Archangels Thunderbird

またロックみの強い、ハードなギターから始まる。ベースもぶりぶりなっててカッコいい。ボーカルもメロディに乗っている。NWW Listのバンドととしてはこれだけで感動。曲のレビューとかどうでもいいくらいただひたすらカッコいい。

 

7. Cerberus

コーヒーをすする。少しの会話から始まる。一瞬ピンク・フロイドのアランズ・サイケデリック・ブレックファストと思い出す。テクニカルなアコギにボンゴが気持ちよく乗っかる。中盤以降はエレキギターに徐々に変化し、キャッチーではないリフを弾く。

 

8. The Return Of Ruebezahl

これまで通りのヘヴィなギターサウンド。曲調の変化は無く、1分40秒リフを弾き続ける。

 

9. Eye-Shaking King

いきなりカオスな演奏。落ち着いたかと思えば、シタールにも似た弦楽器とギター、ベース、ドラムの重たいバンドサウンドトークボックスを使ったような奇妙なボーカル。ギターソロも前衛さはなく、良くも悪くも普通のロック。

 

10. Pale Gallery

ドラム主体に、後ろで不穏な重たい音が鳴っている。ピロピロ音が一瞬鳴ったかと思えば、エフェクトかけまくりギターが異質な雰囲気を生み出す。この雰囲気を保ったままフェードアウトしていく。

 

1. Yeti (Improvisation)

アルバム表題曲でご丁寧に「improvisation」と明示してある。即興であればこちらも多少構えて、一瞬を聞き逃さぬようにしてしまう。やはりキャッチーなメロディなど存在せず、暗い演奏は続く。あくまでギターが前線でそれを支えるドラムとベースである。ジャズ系のインプロヴィゼーションは何度か聴いてきたがロックは恐らく初めてだ。やはりバンドサウンドに親しみがあるため、多少聴きやすい。また面白いことにこのバンドの場合、即興の方がバンド全体でまとまりのある演奏をしているのだ。アルバムの中で最も「プログレッシブ・ロック」をしている曲であることは間違いない。前回紹介したAmon Düül はノイズよりであったが、これはサイケデリックプログレッシブだ。

 

2. Yeti Talks To Yogi (Improvisation)

サイケデリックな空間は継続される。ドラムが激しく叩きまくる。小気味よいリズムで心地良さを感じる。ベースは暴れることなく一貫して安定している。ラストは再びドラムとギターが激しさを増し、まさに地獄のような音。

 

3. Sandoz In The Rain (Improvisation)

一転して落ち着いたギターの音色。ボーカルもこれまでになく落ち着いている。ドラムのリズム感が素晴らしい。フルートも曲の美しさを引き立てる。だんだん音の厚みを増し、複雑になるアンサンブル。他の曲に比べると落ち着いているものの序盤と比べると、うちに怒りを秘めているかのような熱を感じる。

 

クラウト・ロックの代名詞ともいえるハンマービートは見られませんでしたが、実験精神などはほかのバンドに通ずるものを感じます。

 

ご覧いただきありがとうございました。

次回はAnima-Soundです。